英彦山神宮修復保存にかかる御奉賛のお願い。
趣意書
英彦山は、福岡・大分両県にまたがり、海抜一,二〇〇米の霊山として開かれ、爾来悠久三千年余り、幾多の治乱興亡の中にも毅然として守護され、今日に至ってます。その英彦山には山頂より上宮・中宮・下宮・奉幣殿があり山内各所に摂末社が点在しております。山頂に聳える上宮は英彦山神宮の御本社であります。上宮は明徳三年の火災以降、永禄十一年、天正九年、宝暦四年、天保六年と数回の火災に遭い焼失し現存の神殿・拝殿は引化二年に佐賀藩主鍋島斉正公により奉建されました。それから約二百年の月日が流れ、台風や地震等の自然災害に耐え現在も辛うじてその佇まいを伺い知る事が出来ますが、往来の姿は無く、屋根は風で吹き飛び、床は雨漏れで抜け落ち、柱は霧に因って腐り、いつ倒壊しても可笑しくない御姿となっており一日も早い修理復興が急務となっております。他の摂末社も同様で下宮は雨漏れによる腐食に悩まされ奉幣殿は風雨によって美しい朱が剥れ落ちています。この他にも山内各所において保存修理を急がねばならない課題が多くあります。先人たちが今日まで守ってきた軌跡をここで絶やすことは忍び難く、この現状を踏まえ上宮及び山内の摂末社の保存修理事業を行い、貴重な文化を後世に繋いで行くべきであると決心しました。何分、英彦山の山頂・山中での修理には物資運搬等、数十億円の経費を要するため、神宮独自の財源ではとても及ばない事業であります。つきましては出費多端な折、誠に恐縮ではありますが、皆様の御奉賛を賜り事業の完成を念願するものであります。何卒、本会の趣旨を御理解戴き、格別の御支援を賜り伏して懇願申し上げます。
平成30年11月吉日
英彦山神宮 宮司 高千穂秀敏